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犬と暮らすことで、生後1歳までのアトピー発症率が低下
「注射をしない減感作療法の威力」の著者斉藤正峰さんによると、
「生後1歳までの間に家に犬を飼っている家庭では、子供がアレルギー病を発症する確率が明らかに低かった」
という研究結果が明らかになっているそうです。
斉藤さん自身、その研究結果が発表されるまでは、犬(動物)を飼うことはアレルギーに悪いことなので、患者さんたちに家で犬を飼ってはいけないと話してきたといいます。
「犬はアレルギーを予防する良きパートナー」であるという、とても興味深い話です。
この研究を詳しく紹介しましょう。
米国のアレルギー関係の学会誌に発表されたもので、出生直後から1歳までのアトピー性皮膚炎の発症率を、犬を飼っている家庭の子供と飼っていない家庭の子供との間で比較した研究です。
その結果、犬を飼っていない家庭の子供たちの方がアトピー性皮膚炎の発症率が3倍以上も高かったのです。
おそらく、他の条件を同じにした上での比較研究でしょうから、3倍以上の差というのは相当なものだと思います。
それは、免疫ホルモンの数値の差としても顕著に現れたようです。
この研究では免疫学的な検討もしていました。インターロイキン10という免疫ホルモンが、犬を飼っている家庭の子供たちの方が48%も高かったのです。
この免疫ホルモンは過去の研究から、喘息などのアレルギー病の発症を抑える作用があることが明らかになっています。
つまり生後1歳までの間、犬と一緒に暮らすことによりインターロイキン10が高くなり、その結果アトピー性皮膚炎の発症率が低くなったと考えられるのです。
しかし、なぜ生後1年間犬と暮らすことで、アトピー性皮膚炎の予防ができたのでしょう。
犬にどんな力があったというのでしょうか。
斉藤さんは、
「その理由はまだ明らかではありません」
と断りながら、次のように推定しています。
「犬が外で遊んだ後、体に付着して家に運ばれてくる泥には、さまざまな雑菌や菌が作る毒素が含まれている。
それらと子供が頻繁に接触することで、感染症に関連した免疫反応であるTh1が活性化されバランスがTh1優位になる。その分、アレルギーに関連したTh2が抑えられアレルギー病が発症しにくくなる----」
「雑菌や菌が作る毒素」などと聞けば、文字通り悪いものと思ってしまいがちですが、意外にもTh1/Th2の免疫構造のバランスを整える上で、良い効果をもたらしたということになります。
やみくもに清潔を追い求めることがかえってマイナスになるという衛生仮説を裏付ける、実に興味深い話だと思います。
ただし、アレルギー病を発症していない子供の家庭で1歳までに犬を飼うことは発症予防につながるようですが、既に喘息などのアレルギー病を発症してしまっている子供の家庭では、犬の毛などが喘息発作の誘発原因などになるため、犬を飼うことは勧められないのだそうです。
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